この本の前に出ていた版のものを息子が小1ぐらいの時に一度読みました。
今回、田中清代さんの絵で出たことを知り、すぐに読んでみたくなりました。
一人ぼっちで暮らすおばあさんの心のうちを切なく感じたものの、今回は母が亡くなった後に読んでいるので、また思いが違いました。
年老いて一人暮らしで病気になった時の心細さはいかばかりであったかと。
特に、病床で眠るおばあさんの絵が、亡くなった母に重なり、最後は涙で文字がにじんでなかなか読めませんでした。
ちょうど息子がリンゴのジャムをシリコンスチーマーで手作りしたばかりで、文中に出てくるりんごの甘煮の味も身近に感じたようです。
レンジでも簡単に何でもできる時代ですが、ゆきひらの中でことことと煮られる煮物にはぬくもりが感じられるような気がします。
繰り返し出てくる「ゆきひら ゆきひら ゆきのなか」も心地よく響きました。
安房さんのお話は、声に出して読んでみると文章の美しさや情景の豊かさがより感じられる気がします。
息子は前の読み聞かせのことを忘れているようで、初めて出会ったお話として聞いたようです。
おばあさんの年齢になってまた読んだら違った思いで読むのかもしれないと思います。
3年間に私の身に起きた母の死によってこんな風に同じ話でも味わいが違うものかと、私の方がびっくりでした。