『教材に使えるかも』と思い、家でこの絵本を開いていると、当時6歳の息子が「読んで、読んで。」とせがむので、『ちょっと、早いな〜。』と思いつつ、読む前にアメリカの歴史のさわりを説明してみました。
アメリカの大陸には、黄色い肌の人たちが最初に住んでいました。
そこへ船に乗って、白い肌の人たちがやって来ました。
白い肌の人たちは、住みやすい場所を切り開くと共に、黄色い肌の人たちを、奥地へと追いやりました。
やがて、白い肌の人たちもたくさんになり、他国に負けぬ経済力をつけるため、働き手がもっと欲しくなりました。
そこで、アフリカの大陸から黒い肌の人たちをお金で買って、たくさん連れてきました。
以来、黒い肌の人たちの多くは、アメリカの南にの方で働かせられる奴隷となりました。
奴隷は、自分の考えを持ってはいけない。
自分でものを決めて行動してはいけない。
ご主人様(白い肌の人)の言いつけ通りに生きなければならない。
心も体も自由が認められていない。
あの時首を傾げていた息子が、今春久々に手にした一冊です。
読後、「この戦争のあと、黒人問題はどうなったのか?」と質問されました。
残念ながら、ピンクの期待通りの世の中になるまで、まだまだかかりそうな事。
オバマ大統領は、ほんの一筋の光でしかない事。
目には見えない差別が、アメリカ社会の中にたくさん残っている事。
あの戦争に参加した、北軍の白人と黒人の意識の隔たりが、二人の少年の姿に典型的な形で投影されていると思いました。
ポラッコさんの5代前の方が、当のシェルダン(セイ)だったと言うことも、一つの衝撃でした。
15歳の少年たちまでもかり出され、生死の山野を駆けめぐり、死から逃れたい・自由を勝ち取りたいと願いつつ戦っていたかと思うと、凄惨さがリアルに伝わってきます。
経験のない我々が知りうる「戦争」は、時間数の限られた教育と選択を惑うほどのメディアをとおしてのものに頼るのみです。
次世代の人々にとっては、説得力にかける脆弱なものと思われるかもしれません。
が、とにかく語り継いでいくことが、一つの確実な手段であることは間違いないと思いました。