発行日が2013年3月11日、そこからだけでも並々ならぬ発行への思いが感じられます。
3.11が私たちに伝えてくれたものの一つに、今まで見えなかったものを浮き彫りにして私たちに考える機会をくれたことがあります。
震災に誘発される形で原発事故が起こり、今まで安全だと言われていた原子力が決して安全ではなく、ひとたび事故が起きれば私たちの生活に与える影響が大きすぎることを知りました。
この絵本の中にもありますが、チェルノブイリから25年で鳥たちが少しずつ増えて来ていることに触れられています。セシウム137の半減期が30年ということを考えると、それも不思議なことではないのかもしれないと思いました。
ただ、それまでにはたくさんの動物たちの犠牲があったことと思われます。
人は危険があれば避難することができても、自然界の動物たちは危険を知らぬまま死んでいくしかないということ。
鈴木まもるさんが、動物たちの声なき声に耳を傾けて、このような絵本にして私たちに伝えてくださったことに感謝します。
今の科学力を結集しても放射能を無害化することはできないということも聞いたことがあります。
私たちは原発事故が起こした犠牲、これからのエネルギー問題について決して目をそむけてはいけないし、子どもたちの世代にそのつけを残してはいけないと思うのです。