ダウン症の繁ちゃんの愛くるしいお顔が表紙になった絵本です。
作者の星川さんは数々の写真絵本を手掛けられた方で、私もこれまでにいくつかの作品を拝見してきました。
私自身が仕事上で、ダウン症のお子さんと関わる機会があった際、何の知識も持たないままに関わることは出来ないと、あらゆる本を読んだのですが、その一つとして手に取ったこの写真絵本が一番私の心を揺さぶって、理解が深まりました。
星川さんの写真は躍動感があります。気取らない日常そのものがうつされていてとても共感できます。
その一瞬の表情を逃さない素敵な写真と、そこに乗せられた言葉がとてもぴったり合っていて、一年間、本当に色んな時に密着をされていたのだということがわかります。
そして、しげちゃんのお母さんがあらたちゃんが投げかけた疑問
「なんで、みんなみたいにおしゃべりしないの?びょうきなの?」という問いにも
「びょうきじゃないのよ。なんでもゆっくりおぼえていくから。」と答えたところにも母なりの気持ちが表現されていると感じました。
そうです。びょうきではない。ただみんなより一本染色体が多かっただけ。
びょうき、障がいと捉えているのは健常者の身勝手な考えです。
母親として、みんなにも特別扱いではなく同じように接してもらいたいという気持ちもあるのではないでしょうか。
私もドキッとしました。
染色体が一本多いという特徴もあらたちゃんにわかりやすいように「おまけ」という言葉を使って教えてあげていました。母親だからこその愛のある言葉だなと思います。
しげちゃんのお母さんと3人で話すシーンの写真のしげちゃんのお母さんの優しい横顔も印象に残っています。
ゆっくり成長しているしげくんですが、この密着のはじめと終わりでは顔つきが全然違うのがわかります。
勿論、あらたちゃんだって、大きく成長していますが。
ゆっくりでも、着実に成長しているしげちゃん。きっともう現在は20歳くらいになっているのかな?一日一日、自分で出来るようになったことが増えて・・出来ることもいっぱい増えたでしょう。でも優しい笑顔のままのしげちゃんだろうなと想像します。
みんなの心の中でハンディのある人がとなりの存在になってくれたらどれだけ嬉しいでしょう。
という星川さんの最後の言葉にもあるように・・
私の関わったとなりの〇〇ちゃんも大切な大切な存在です。
しげちゃんのお写真を拝見しながら、〇〇ちゃんのことを思い出しながら・・胸が熱くなりました。