クリスマスシーズンには毎年たくさんのクリスマス絵本が出ます。クリスマスのほんとうの意味は綺麗に消し去って、サンタクロースが主人公だったり、ツリーが擬人化されていたり、プレゼントをもらうっていうことばかりクローズアップされていたり・・・
そんな風潮に、なにか違うなあと感じていました。もちろんクリスマスは単純ににぎやかに騒ぐのが日本の主流とはわかっていても・・・
でもこの絵本は、読み終わったあとに爽やかな満足感に満ち溢れました。おとなが子どもたちの未来を信じ、大切なものを手渡す・・・その気概が何気ない父と子の会話に垣間見えました。
たくさんの愛情を受けて育った子どもたちは、今度はサンタクロースの弟子として、多くの人に優しさを届けることができる。お父さんが、両親や周りの大人たちの温かい愛情に育まれたように、この男の子も人間への信頼をきちんと心の中において、周囲の人への思いやりをもった大人へと成長していくことでしょう。
お父さんが毎年受け取ったプレゼントも素敵でした。流行りのゲームの代わりにプラネタリウム投影機だったり、犬がほしいと願ったら、飼い方の本が届いて里親のところで子犬を譲り受けるあたり、細部にまで人やものにたいする作者の愛情が溢れていて、こちらまで優しい気持ちになりました。
子どもたちは私たちの未来を背負います。そんな子どもたちにこのようなメッセージをクリスマスに伝えられるなんて、ほんとうに素敵です。希望の光を感じました。