二月三日は節分。
立春の前日にあたります。節分という言葉でわかるように、冬から春への季節を分ける日のことです。
邪気を追い払って春を迎えるということで、さまざまな風習があります。
戸口に鰯の頭や柊の枝を飾るのも、豆まきも、鬼を追い払うことにつながっています。
寒い夜に各家からの「鬼は外、福は内」の声がよく響きます。
最近はそんな声がほとんど聞こえてこないのが残念ですが、代わって「恵方巻」を食べることが一般化してきました。
野村たかあきさんn「おばあちゃん」シリーズでも、こうして一つの作品になっています。
この絵本ではおとうさんが「恵方巻」について説明してくれています。
それによると、「恵方巻」を食べるのは関西地方の風習だというのですが、大阪の近郊で育ちましたが、「恵方巻」は食べたことがありませんでした。
どこか狭い一角だけの風習だったのでしょうか。それにしても、それを大々的なイベントにしてしまったのですから、その仕掛け人は先見の明があったのですね。
「恵方」というのは、その年の縁起のいい方角。その方向に向かって、切らないで丸ごと食べないといけないことになっています。
しかも、途中でしゃべると、福が逃げるのだとか。
絵本の中ではきりちゃんとこうた君のおなじみの姉弟がそんなことにはおかまいなしにしゃべりまくっていますが。
きりちゃんのおばあちゃんは料理が得意。
「恵方巻」を作ったのも、おばあちゃん。いつものように、きりちゃんはお手伝い。
きりちゃんの家が素敵なのは、日本的な風習がきちんと守られていることです。だから、きりちゃんの家の玄関にはちゃんと鰯の頭と柊が飾られています。
豆まきもちゃんとします。
豆まきが終われば、自分の年の数に一つ足して食べます。
子どもの頃は、親の豆まで頂戴していたものですが、さすがに年を重ねてくれば、誰かに手伝ってもらわないと食べられなくなりました。
節分の日、「恵方巻」を食べながら、この絵本を読んでみるのもいいかもしれません。
ふっと気がつけば、横で子どもの鬼も読んでいたりして。