虫たちは、じっとしてこちらを向いて「チーズ!」と言ってくれるわけではありません。小さくて動き回る虫たちの顔、顔、顔・・・。自分の力では見ることができないものを見せていただいたなぁーと、驚きと尊敬の念でページを繰りました。
写真も素晴らしいですが、文章や構成も とても良いと思いました。やさしい言葉で、子どもたちがこれらの写真に興味を持つように始まります。まずは、あいさつから。そして、段々と写真をみるポイントが示され、生物学的な説明も加わります。
新開さんがシャッターを切る寸前、きっと幾度となく、虫たちはパッと飛び立ったことでしょう。「あーあ」という落胆、うまく撮れた時の「ヤッター」という気持ちが想像できます。虫たちへの興味と根気と愛情がなければ撮れない写真です。あとがきに書かれている、虫のしぐさから虫の気持ちを感じ取れるというところ、新開さんなら きっと感じとれるだろうと思いました。
ユーモラスな顔、ちょっと恐いような顔。生物のあまりの多様性に、この世の不思議を感じました。虫が好きな子どもさんにとっては、何度見ても見飽きない写真絵本だと思います。虫にふれる機会がなかったり、苦手だったりする子どもさんにとっては、未知のものにふれる一つのきっかけになります。