侵略戦争が起きているこの今だからこそ、大きな意味を感じる本だった。
大きな国の人々は、自分たちの暮らしほど素敵なものはないと信じていた。大きな国の大統領は、強い兵隊と大砲で、他の国に戦争をしかけ、征服していく。「我々が世界中を征服すれば、みんなが我々と同じように暮らせるのだから」。
すべての国を征服した大統領。
残るは軍隊を持たぬ小国1つのみ。
軍隊がないから戦争できないので、駐留している兵隊たちは、小国の料理や歌や遊びを覚えていき…。
小国の文化が、大統領の口ずさむ歌にまで入り込んでいく。
戦争で土地を奪ったことで、自国の文化が侵略した国の文化に上書きされていく事は、ある意味皮肉でもあるな・・・と考えさせられた作品。