初めてこの本を読んだ時
みすゞさんの「つもったゆき」と重なって
「あ、いいな」と、冬の終わりの特別な1冊になりました。
そうして
2月も中旬を過ぎると、もう春が待ち遠しくなって
毎年、読み聞かせに、この本を選んでしまいます。
冬の間中
道路わきの雪の山の中で
「まだですか」―「まだですよ」が繰り返されているのかと思うと
凍える冬もなんだか愉快な気分になって
積もった雪に耳をすませてみたくなります。
庭のさざんかやもみじの根もとは
いち早く雪が解けてぽっかり土が出る。
あれも、木の根っこが春を感じて
土にしみ込んだ水をくくうっと吸い込んでいたからだったのでしょうね。
小学生の頃
積もった雪に穴をあけて覗くと、うす水色で
それは、赤い光が雪に吸収されたせいなのだと
今では知っているけれど
「雪ってほんとうは水色だよね」と大発見をしたように友達と騒いでた。
あの頃の私に教えてあげたいです。
あれは
いずれ水になる雪たちの
「まだですか」「まだですよ」の声が
雪を水色にそめたのよ と。