ルドウィッヒ・ベーメルマンスの1938年の作品で、邦訳は2006年が初版。
1951年にコールデコット賞を受賞した「マドレーヌといぬ」を始めとしたマドレーヌシリーズが有名ですが、その前の作品ということになります。
物語の舞台は、エクアドル。
ペールマンが1937年頃、エクアドルを旅し特急キト号にも乗り、エクアドルが大好きになったことから、この絵本を描いたそうです。
絵が茶色一色なのですが、赤道直下のエクアドルにピッタリの色。
デッサンのような絵ですが、一枚の絵を何十回も描き直したそうで、どうりでバランスが絶妙なはずです。
主人公のペドロは、男の子。
年齢が書かれていないのですが、まだ歩けない赤ちゃんです。
そのペドロが、ふとしたきっかけから1人で特急キト号に乗り込んでしまうのです。
その後は、特急キト号の車掌さんがペドロを保護し、翌日からは一緒にキト号に乗って両親を探すことになります。
ストーリーよりも、異国情緒溢れる絵に魅了されてしまいました。
赤ちゃんが行方不明になるなんて大事件なのに、そんなことを微塵も感じさせないのは、醸し出される気候のお陰なのでしょうか?
何れにせよ、旅情を大いに感じることのできる絵本だと思います。