ある日、小学4年生の息子が「英語が話せたらカッコいいよね」と言い出しました。一体何に影響されたのか分かりませんが、これは勉強を始めるチャンスとばかり、早速音声ペン付きの通信教育に申し込みました。
始めて2カ月目くらい、ちょうど勉強が面白くなってきたころに、絵本ナビのホームページで「やさしい英語で読む世界の物語」シリーズを知りました。息子には難しいかもしれないという心配があったので、シリーズの中では単語数が少なく、それぞれの話も短い「世界の爆笑物語」を選びました。
各話にはいくつかの単語に注釈が付いていて意味が確認できるようになっていますが、息子のためにもう少し単語を追加して意味を書き出しておきました。こうした事前準備の後、いよいよ息子と一緒に読んでみました。最初にCDから1話分の英文の音声を聞き、その後私が1文ずつ読みながら意味を説明し、最後にCDの和訳を聞くという順番で進めました。しかし、どうも息子の反応が良くありません。CDから次々流れてくる英語に圧倒されて、意味が全く分からないのがストレスのようでした。「たくさんの英語に触れるのが目的だから、細かな意味が分からなくてもいいんだよ」と説明しても、「つまらない。達成感がない」という言葉が返ってきました。
せっかく購入した本を途中で投げ出すのはもったいないので、作戦変更をすることにしました。今度は英文を聞くときに1文ごとCDを止めてみました。そして、その1つの文の中で聞き取れた英単語を互いに出し合ってみるのです。例えば、「オールドブック(old book)って聞こえた」と息子が言えば、私が「オールドは古いという意味で、ブックの意味は知っているよね」と受けます。それを聞いて息子が「そっか、古本だ!」。息子が「カムバック、ネクストウィーク(come back next week)って聞こえるよ。ネクストは次という意味で、バックは車を後ろに運転するみたいな・・・」というのを聞いて、私が「そうそう、翌週だね。カムバックは戻ってくる」と答える、このような調子です。そして聞き取れた単語から文の意味を推測してみます。1つの話が終わったところでCDの和訳を聞いて、自分たちの推測した意味が合っているかを確認してみました。
クイズ感覚のやり方が気に入ったのか、息子の発言が多くなり、どんどんとテンションが上がっていきました。私自身も事前に単語をチェックしたり、息子に説明しようと気負ったりすることなく、よく分からない部分は「こんなふうな意味じゃないのかな?」といった具合に気楽に楽しめるようになりました。少々邪道かもしれませんが、結果的にはこのやり方が私たち親子には向いていたようです。
このようなやりとりを通して、少し贅沢な要望ですが、あまり英語に触れてこなかった小学生が取り組みやすい工夫があるといいなと思いました。幼児のうちから英語をたくさん聞き流す学習法を聞いたことがありますが、既に日本語の読み書きができる小学生にとって、意味のわからない英文を聞くのはたいくつだと感じる子もいるのではないでしょうか。例えば、収録されている話の中からよく使う単語や言い回しが別に録音されていて、それを聞いた後に子どもが真似して話せるような参加型の仕組みもプラスされると有難いと感じました。
全体的にはバランスのとれた良書だと思います。本のサイズは扱いやすい大きさで、どの話にも必ずイラストが入っているので子どもの興味をひきます。また、CDに英語が録音されているのは親にとって有難いですし、クリアで聞き取りやすい音声でした。そして価格面でも手を出しやすいのが嬉しいです。
これからもその時々の息子の英語力に合った工夫をしながら、親子で長く楽しみたいと思います。