居ながらにして世界旅行をした気がする一冊。
バックパッカー風の旅のスタイルで、そこら辺の普通のお宅にお邪魔して
ご飯をご馳走になっている二人。すごい行動力&交渉力!
答えてくれる現地の方々も太っ腹!
高級ホテルや観光地ではない、普通の人々の暮らしを紹介しているところが素晴らしい。作られたイメージではない、本物の外国の空気が感じられる。
その辺の人を撮影した何気ない写真、現地の風景や台所の風景がいきいき、のびのびしていて、手を伸ばせば触れそうな勢い。
いろいろなお料理を紹介しているのですが、気取った盛り付けをしているような観光地臭い代物は一つもなく、普通の食卓で何気なく食べているものばかり。
盛り付けもドカン!とお皿に盛っただけの、素朴なもの。
男二人が旅しているためか、男っぽい料理やおもしろいエピソードが満載。
食べる事は、決してきれいごとだけでは済まされれない。
例えば、家畜をと殺する場面や、解体する場面もしっかり取材している。
それがさりげなく、当たり前のこととして、紹介されている。
私たちも、肉や魚を食べる。スーパーでは、すでにと殺され、解体され、食べやすくなった肉の塊がパック詰めされて並んでいるけど、もとをたどれば生き物。
そういう大事な、命のことは、なかなか学校などでは教わる事はない。家庭でも、難しい時代です。昔のように鶏を飼っていて自宅でさばいて食べるという機会がない方が多いだろうし、そういう事をしていると、「残酷」とか言われかねない雰囲気を、私は感じます。
いろんな人の生活を知る事も心の栄養になるし、食べ物が命であることを感じる事も大事。この本は、それを道徳の教科書みたいなかしこまった雰囲気ではなく、ファンキーで楽しい旅行体験として伝えてくれていることが、素晴らしいと思う。