真っ白な雪の中、楽しい、きれい、それだけではない世界です。
魚が取りにくいということは生きることがとても難しい。
シロクマは走って、赤い女の子に出会います。白い世界の中に本当にぽちっと赤いもの。雪で一緒に遊ぶことがとってもほのぼのして楽しそう。しかし、ちょっと我に帰れば。そこはやはり危険な冬の世界。一瞬で恐怖が迫ってきます。怖くて寂しくて寒くてひとり。また、ぽちっと赤いもの。真っ暗闇で灯すろうそくの光のように、それが本当に心をあったかくさせるものになる。そういう対比が描かれています。かわいい、だけではない世界です。生きること、死ぬこと、恐怖と楽しみ、そして温もりと冷たさ。どれも永遠なものではありません。刻々と変化する自然の様子と一緒に、いつでも心はあったかくもなり、ぞくっとするものにもなる。少ない言葉と絵で、この世界観は素晴らしいと思いました。