不思議な題名と、二宮由紀子・高畠純のコンビということで読んでみました。
以前「へびのしっぽ」という二宮作品を読みましたが、あまり日の目を見そうにないものを主人公にして描くのが、うまい作家だと思います。
散歩に行くのは好きだけれど、犬のチロと一緒に行くのは不本意だと思っているさんぽひも。
さんぽひもの目線から、散歩風景が語られていくのがおもしろいと思いました。
さんぽひもが散歩で出会ったのは、ルーシーという名前のさんぽひも、さくぽひもであるのに自分で自分に名前をつけてしまったというルーシーに心惹かれます。
ルーシーに名前をつけたらと言われたさんぽひも。名前をあれこれ考えている姿に何だかとても共感してしまいました。
自分だけでなく、親友のつなぎひもにも名前をつけてあげたいと思う点、さんぽひもって友情に厚いのですね。
犬が散歩をしていれば、犬にしか目がいきませんが、さんぽひもにも人生があるというところに妙に引かれてしまいました。
自分自身では自分のいろいろな面に気付くことはないと思いますが、他者との出会いによっていろいろ気付かされるのだろうなと思います。
大人の方がおもしろさを感じるかもしれません。