物語の大きなテーマは母親の愛情ですが、動物から見た人間の怖さも語られます。手ぶくろを買いに人間の町へ行く子ぎつねを、ハラハラしながら見守りました。結末が悲しいものでなく、ホッとしました。
今ではあまり聞かなくなった古い言葉が使われています。が、そういった表現が逆に新鮮に感じられました。絵の効果もあるのでしょうか。
色や光、音、風景の描写が、はっとするほど美しく、子供にもその感覚を味わってほしいなと思いました。
子ぎつねがお店の戸から手を差し出す場面や、人間の親子の会話を聞いている場面、可愛らしく描かれたその表情に、きゅんとします。おかあさんぎつねが子ぎつねを抱くシーンは、そのぬくもりが伝わってくるようで、読み終えたあと娘を抱きしめたくなりました。