この絵本の中で、ちいさなねこはひとりででかけて、子どもにつかまえられそうになったり、大きな犬に遭遇したりします。まだ2歳だったと思います。読んだ後の次男が目にいっぱい涙をためていました。ちいさなねこと一緒になってどきどきし、そしてホッと安堵の涙だったのでしょうか。この絵本は次男にとって、最初の「文学体験」となりました。
こんなにも心を寄せることができるんだ、とびっくりし、次男がいとおしくもなったのであります!
ああ、おかあさんねこの堂々としていること!
1963年こどものともが初出です。まわりの背景…走っている車などはさすがにレトロな感じになっておりますが、おかあさんねこのちいさなねこに対する愛情は少しもぶれず、見据えるような表情にもそれが感じられます。
小さい子ども向けのおはなしにありがちな甘ったるさはなく小気味よい語り口。そこには、石井桃子さんの幼い人に対する敬意が感じられる気がしました。