『雪女』はいうまでもなく小泉八雲の代表作のひとつです。
この絵本では小学生でも読めるように平井呈一さんが書き改めた文がついています。
絵は伊勢英子さん。(2000年に出た絵本なので、伊勢さんは漢字表記になっています)
物語はある寒い冬の夜から始まります。
二人の木こりがひどい吹雪にあい、小さな小屋に逃げ込みます。
そこに雪女が現れ、年老いた木こりは凍え殺されます。
もう一人の木こりは若かったので、命は助けられますが、
見たことは絶対公言しないことを約束させられます。
その翌年、若い木こりは道で若く美しい女と出会います。
木こりは女を家に連れて帰り、やがて二人は結婚します。
子供が10人も生まれ、これほどの仕合せはないと思っていた矢先、
木こりはつい女に昔見た雪女の話をしてしまいます。
もうおわかりでしょう。
この女はあの時の雪女だったのです。
約束を破った報いで女は家を出ていきます。
仕合せ過ぎて、ふいと曲がったその先に不幸が待ち受けている。
この怪談話は雪女が怖いのではなく、
そんな人生のありようが怖いことを教えています。
伊勢英子さんは雪女を凛とした美女として描いています。