「だれかが 言ってたんやけど、
あの子と しゃべらんほうがいいんやて。」
この 誰が言い始めたのか分からない、心ない一言で
特定の子が みんなから仲間はずれにされていきます。
根も葉もない噂。一体、誰がなぜ言い始めたのでしょう?
ラストの一言が真理をついて重みを持っています。
「それって、ほんまにほんまやの?
なー、あの子と話してみたらいいやん。」
ほんとに【百聞は一見にしかず】なんですよね。
絵本は余韻を楽しむものだから、読んだ後に感想を聞いたり
話し合いをしてはいけないと聞いたことがあります。
でも、この作品に関しては 大きな問題提起をしていると考え、
敢えて 娘たちと話し合いの場を持ってみました。
寝る前に絵本を読んだ後だったせいか、構えずに意見を言ってくれました。
意見というより「仲間はずれは可哀相」という感想でしたが。
8歳〜4歳のうちの娘たちには、まだ難しすぎたかもしれません。
小学校中学年〜高学年向きでしょうか。
自分の娘たちには 噂に流されず、自分の目でモノを見る
確かな目を養い、他者を認める器を持って欲しいと願っています。
この作品は、図書ボラのメンバーさんが持って来られたものでした。
ちょうど数ヶ月前から全国的に いじめ問題が浮き彫りとなり、
小学校の読み聞かせで読もうか、かなり悩まれたとのことで
図書担当の先生に相談されていました。現在、職員会議で審議中です。
個人的には、最後の「噂に振り回されずに、本人と話してみようよ」
という言葉の重要さに軍配を揚げて、読んでもいいと思います。
ただし フォローは必要になると思うので、小学校などで読む場合は
読むクラスの担任の先生に 事前に相談が必要かと思います。
部落やいじめなど、現実社会で多くの場面に当てはまる、
大きな…そして 重いテーマを思い切って扱った作品です。
ところで、作者・ひぐちともこさんの作品は
関西弁のものが多いようですが 関西の方なのでしょうか。
関西弁の会話が一層、臨場感を盛り上げているように思います。