図書館で見つけて、自分で読んでみたくて借りてきました。
心優しい悪魔の息子 アスモデウス。
地獄の子供たちからはいじめられ、「意地悪やおこりんぼう」と褒められた事もない落ちこぼれ・・・。
思い余った父親に、「人間の魂をひとつとってこい」と地上に送り出されます。
言いつけどおり「立派に人間をたぶらかして、魂をとって帰る」と、あれこれ頑張りますが・・・。
どこかで映画化でもしそうだわ、と思うくらい、とてもよくできたお話で、笑う場面も、切なくなる場面も、すごく素直に楽しめます。
(私が一番好きなセリフはめうしの「うしが城をもってどうすんのよ」です。おかしかった〜。)
地獄の悪魔にとってはお仕事とも言える、「人間をたぶらかす」事を、大真面目で誠実にやりとげようとするアスモデウスの行動と言動に、「あ〜あ」と苦笑するところが面白いのですが、魂を取ることもできず、人間の子供たちからも苛められ、「僕みたいな子供は地獄にも地上にもいない。ひとりぼっちなんだ・・」と悲しむ姿は、私たちが生きているこの人間の世界にも、まるで地獄のように厳しい一面もあるんだと教えてくれています。
最後は ちょっぴり切ないハッピーエンドで、アスモデウスの気持ちを考えると胸がキュンとしますね。