色の魔術師 クリス・ヴァン・オールズバーグの2006年の作品です。
セピア色の絵は、写真と見間違うほどの出来栄えで、見る者を虜にすることは間違いありません。
主人公の兄妹の表情なんて、まさに絵本から飛び出さんばかりの躍動感に溢れて描かれています。
物語は、兄が妹に催眠術をかけるのですが、それが解けなくて四苦八苦する姿を中心に書いています。
勿論、オールズバーグのことですから、エンディングにはサプライズを用意していました。
ただし、他のオールズバーグの作品が、この世のものと思えない不思議な空間を描いているのに比べると、ごく普通の日常を描いているこの作品は、期待している人にとっては肩すかしをくうことになるかも知れません。
文章量も多いので、お勧めの年齢層が難しく、大人の絵本としては物足りないといったところです。
しいて言えば、オールズバーグのファン向けの絵本という位置づけでしょうか。
男性が、女性に敵わない部分を描いているいう気にもさせられる一冊です。