バンサンの子供目線での描き方が温かい作品です。柔らかい水彩画、字もほとんど無ければ後書きもありません。
羊飼いの少年の下に気球が舞い降りてきます。羊を気にしながらも少年は気球から下りてきた男に近付いていきます。好奇心から乗ってみたものの・・・羊を置いてきちゃった、下ろしてよう・・・。
読むだけなら1分でも読めるこちらの本を20分弱かけて見返しました。謎めいたものには触れてみたい。幼い時ほど好奇心が強いものです。ところがいざ触れてみるとおっかないものだった。こういった経験は誰でも体験していますよね。
少年が目にしているものは気球。好奇心の対象も空であり気球であるのに対し、集落の大人は気球ではなく異国の者を観察するかのように男に目を向けます。観点の違いがラストに描かれています。
少年を中心とするか、男を中心とするかで感想が違ってくる作品です。じっくりと考えさせてくれます。高学年向き。