結構、字数の多い本なので、年長か小学校低学年からでしょうか。動物愛護精神の高いイギリスらしいお話です。絵は、『チムとゆうかんなせんちょうさん』シリーズでおなじみのアーディゾーニです。主人公は汚い野良ネコ。「フランス式の庭」や「円形の花壇」があってオーケストラが週に3回も演奏する素敵なな公園に住んでいて、庭師がしらの目の仇にされています。でも、決して捕まらないし、「帝国ホテル」のコックさんをはじめ、ともだちもたくさんいます。ところが、ある日、意地悪な女性に捕まって……。
ネコではなく、人間でもこういう人がいますよね。常に自分に誇りを持って堂々と生きている人。そういう人は、反感を買うことがあっても、最後は一目置かれるようになります。いなくなると、まるで大きな穴が空いたようで、その存在感を思い知らされるような人。こういう生き方はなかなかできません。また、そういうネコを愛するという文化もなかなかないと思います。公園の描写とともに、イギリスの文化の香りを感じさせる絵本です。