実話を取り上げた作品だそうです。
1939年、ポーランド、ワルシャワの陥落。
ワルシャワやその周辺の町のユダヤ人たちは、ナチスドイツによってワルシャワにつくられたゲットー(ユダヤ人居住地区)の中に閉じこめられました。
この中は、凄惨を極める過密状態で、病気と飢餓の巣窟だったそうです。
ユダヤ人レジスタンスの活動はゲットーの中ばかりか、必死の逃亡でゲットーの外へ逃げだし、非ユダヤ人になりすまし活動していた人々にも及んでいました。
主人公の女の子の姉ミラや友人アリクらは、ゲットーの中へ食料を運ぶ計画を立てていました。
もちろんその食料は、ワルシャワの外から列車に乗った同士の手によって運ばれてくるものです。
いよいよというその日に、ゲシュタポ(ナチスドイツ秘密国家警察)に計画が気づかれ、主人公たちは一計を案じます。
ゲシュタポの裏をかくこの駅でのねこを使った攪乱作戦が、読んでいて小気味よかった。
知恵と力を合わせ、仲間を救おうと微力ながら諦めず、様々な形で戦ったユダヤ人の意思の強さに感動します。
彼らワルシャワのユダヤ人の戦いは、この後数年続きますが、無念のうちに消えていった命、何が起きたか解らぬまま消された幼い命の灯を思うと、何度読んでもナチスドイツの狂った蛮行を許せません。
中高生にも薦めたい一冊です。