もうすぐ5歳になる息子が1歳の頃に買ったファーストブックの一冊です。読みはじめの頃は「さかな」だとか「とり」だとか、お話というよりは絵を楽しむだけでしたが、2歳半頃からか、「おさかな、ないちゃった」とか、「おんなのこたすけたね」と、場面ごとに感情移入するようになりました。やがて、「おなかすくとかなしいよねえ」「とりさんがみんなたべちゃうのねえ」というように、さかなの気持になってお話を味わうようになりました。もうすぐ5歳になりますが、いまでも時々「読んで」と持ってきます。
絵もおはなしもシンプルで、大人にはいわゆる「あかちゃんえほん」に見えてしまいがちですが、お話会などで読むと、もう自分でこの本を読める年齢の子でも、静かに聞いてくれます。ブルーナの絵本のすごいところは、この、引きつけられる子どもの年齢層の広さだと思っています。絵はシンプルですが洗練されていて、見飽きません。奇をてらわないストーリーは分かりやすく、日常の中の体験に添ったテーマが余計な修飾なしにするすると語られていて、子どもたちが感情移入しやすいのだと思います。石井桃子さんのリズミカルな訳文もすてきです。