彫刻刀で掘られた版画のようなイラストがなつかしさを感じさせてくれ、かんばんやという昔ながらのストーリーの舞台にはぴったりなテイストだなと感じます。
かんばんやという仕事自体をよく知らない私にとっては、新鮮な気持ちでした。
そして、そんなお父さんが一生懸命書いた看板を誇らしげに見つめる息子の目線。きっとかっこいいなとどこか憧れの的なのでしょうね。
色々な仕事がありますが、父が働いている姿を知っているからこそ、父の背中を見ているからこそ、その仕事の素晴らしさも感じることが出来るのでしょうね。
現代ではお父さんが仕事場でどんなふうに働いているかを見れる環境の人の方が少ないかもしれません。
ちょっとぶっきらぼうな物言いだけど、とても愛があるお父さんの言葉と、家族を愛する父と、息子にも出来れば継いでもらいたい・・そんな親心も見え隠れしていて、なかなか奥の深い絵本だと感じました。
とうちゃんはきっと息子が書いてくれた看板、嬉しかったんだろうなぁ。
そんなことを想像しながら読みました。
高層マンションが増え、下町の情緒や街並みが減っていく中で、やはり昔ながらの仕事を続けておられる方の誇りを見せてもらえたような気がします。