どんな生き物でも個体差とか個性とか必ずあるものです。生き物を扱うお話では、そのことをどれだけ実感できているかが、その本の価値を高めると思っています。
ベスコフさんの作品は、人間も含めた生き物やそこに宿る精霊のようなものへの好奇心と愛に裏打ちされた描写がたまりません。アシナさんのレビューにある「子どもの価値」がしっかり描かれているというのも数々の作品に共通していますね。
この本では、魚の絵は精緻で特に誇張があるわけでもないのに、さもありなんという性格付けがとても楽しいです。
好奇心旺盛なスズキ(魚)の子スイスイが同じく好奇心旺盛な人間の子供に捕まえられ水槽で飼われることになるまでの経緯、それを知った大人の魚たちの行動、子供の対応と成長がお話としてこちらの好奇心をどんどんくすぐってくれるので、魚に足がはえている様子など奇想天外のようでいて説得力のある魅力的な絵本でした。
終わり方も、単純に「良かったね」という感じじゃないところがまたいいんですよね。
スーイスーイスイ魚の子♪なんて歌いたくなります!?