子どもの頃、親戚の家のピアノの上に、この犬の陶製の大小様々なフィギュアが乗っていました。首を傾げた白い犬をかわいいなと思い、気に入っていました。
少し大きくなり、この犬は蓄音機の音を聞くために耳を澄ましているのだと分かるイラストと、それが音楽系の会社のロゴマークとなっていることに気付きました。
それからまたしばらく経ち、大人になってから、この犬は「His Master’s Voice」という絵を元に作られたキャラクターで、彼が聞いているのは亡くなった飼い主の声だということを知りました。
今回、その犬の物語が絵本になったということで、とても楽しみにして読みました。
落ち着いた色合いの表紙を開くと、淡いトーンの優しい画面でした。
ご主人が亡くなり、別々に暮らさざるを得なかった家族。穏やかなニッパーの日常が、こんな風に悲しい終わりを告げたのだと初めて知りました。
引き取られた先でニッパーの生活が上向きになるきっかけがあって本当に良かったですね。
バラバラになった家族とも再会できて安心しました。
親戚の家のピアノの上に並んでいたあの白い犬の物語を、このような優しい色合いと語り口の絵本で読むことができて大満足です。