山下明生の2作目の作品だそうですが、絶版となり理論社から復刊されたそうです。ぼくの父は嵐で遭難し母は病気になり、じいちゃんが漁業で生計を立てています。
漁師の間では、沖の白波を白馬と呼び、嵐の日には白馬が何千もの群れを作ると言われて怖れられています。
じいちゃんのぼくに対する愛情の深さ、ぼくとじいちゃんの交流が丁寧に描かれており、心が温かくなります。
ぼくが見た白馬。その白馬との出会いはとても幻想的です。一番ドキドキとしたのは、じいちゃんが遭難しかけた場面で、じいちゃんが死んでしまったら、ぼくは一体どうなってしまうのかと本当に心配になりました。
自然の穏やかさと恐ろしさが心に迫ってくるのを感じました。白馬の話とぼくとじいちゃんの情愛をうまく結びつけて、とても良い作品に仕上がっていると思いました。名作と呼ぶにふさわしい作品だと思います。