新刊
きみとぼく

きみとぼく(文溪堂)

谷口智則さん最新刊 全然違う「きみ」と「ぼく」の物語

あくま」 夏の雨さんの声

あくま 作:谷川 俊太郎
絵:和田 誠
出版社:教育画劇 教育画劇の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:2007年09月
ISBN:9784774610689
評価スコア 4.2
評価ランキング 24,012
みんなの声 総数 19
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  • やさしい悪魔

     誰も悪魔なんか見たことがないはずなのに、悪魔のことを知っているのはどうしてだろう。
     黒ずくめで、触覚のような角(つの)があって、お尻には矢印記号の尻尾がついていて、というのが、誰もが頭に浮かぶ悪魔像ではないかしらん。
     悪魔は見たことがないはずだが、悪魔に会ったことがある人はいるだろう。
     「あの人は悪魔だ」なんて、よく口にする。
     つまり、悪魔を見たことがないが、悪魔には会っているんだ、私たちは。
     でも、会った悪魔は、きっと普通の人間の姿をしているんだろうな。

     谷川俊太郎さんが文を書いて、和田誠さんが絵を描いた、この絵本に登場する「あくま」は黒い定番衣装ではない。
    深いオレンジ色の「あくま」だ。
     しかも、緑色のつばさまでついている。
     主人公の少年が「あくま」に会ったのは、「むかしばなしのなかのみち」だという設定がいい。
     確かに「「むかしばなしのなかのみち」だと、「あくま」に会う確率は高いだろう。
     まして、絵本だから、現実の世界でも悪魔に会うことがあるなんていえない。

     少年がまず会うのは「まじょ」だ。
     そういえば、魔女も見たことがないはずだ。
     けれど、悪魔と同じように黒ずくめで、定番の三角の帽子、さらにホウキを持っているというのが、魔女の姿。
     見たことはないのに。
     でも、悪魔と同様、魔女にも会った人はいる。
     最近では「美魔女」なんていう人もいる。
     この絵本では定番型の魔女が登場する。
     「ともだちになりたい」って。
     少年はこれを断って、魔女を退治しようとするのだが、「まじよ」は強い。
     そこに現れるのが、「あくま」だ。

     「まじょ」を倒した「あくま」は、少年に「ともだちになりたい」という。
     少年はそれも断って、「むかしばなしのなかのみち」から抜け出すのだが、あとで思う。
     「あくまとともだちにならなくて そんしたんじゃないか」って。
     どうかな。
     もう少ししたら、悪魔と会えるんだから。
     でも、くれぐれもいっておくけれど、本当に会う悪魔は怖いんだよ。

    投稿日:2014/03/16

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