もし、口がなかったら、もし文字を持たなかったら、人とどうやって関わり合えばいいのだろう。
もし、気持ちがなかったら、考えることを知らなかったら、自分はどのように生きていけばいいのだろう。
何もかもが四角い世界に生活するかくさんと、川で流されてきた少年との数日間の物語です。
かくさんは少年を助けるという行為から、次第に人間らしく変化を遂げていきます。
あまりにも異次元世界のお話のようですが、考えさせられました。
もし、今の自分の当たり前が当たり前でなかったら…。
実はそういう人たちが社会にいることを見過ごしていました。
障がいのある人、認知症の人、そんな人たちを極端な形で表現しているように思えたからです。
話すことも書くこともできない人とどのように接すればいいのでしょう。
何を思っているのか、何を考えているのか分からない人と、どのように接すればいいのでしょう。
この絵本では、両方の立場に立つことができます。
哲学的な疑似体験の世界のようでした。