オツベルを絵にすると、こうなるのですね。
中学の教科書にのっていた話で、荒井さんの絵本が出ていると知り、読み返す良いチャンスと思い手にとりました。
何度も音読した記憶が甦り、リズムはさすが、テンポよく、「ぐららあがあ」など独特の言い回しは頭に残っていました。
中学の時は、「象がかわいそう」という印象しかなかったのですが、今読むと、表紙の白い象と裏表紙の大きなオツベルの顔に代表されるように、その対比が描きたかったのかとも思います。
十把から三把に減る藁と、三日の月から十日の月に変わっていく変移など、授業でしたことは覚えていたのですが、絵で表されるとまた色彩がものをいうなと感じました。
荒井さんといえば「たいようオルガン」や「きいろいバス」で美しい黄色のイメージがあり、物語前半もその基調で馴染みやすかったのですが、後半の怒りを表す赤、色調がガラッと変わって、どきっとしました。
きっとこの絵本の絵は賢治の名文に伴われて忘れないというくらい、素晴らしいコラボだと思いました。
名作を、名画家さんで読み直せる醍醐味を堪能させていただきました。