ある日、オツベルの稲扱小屋に白い象がやってきました。
白い象はとっても純粋で心優しくて、可愛らしかった。
オツベルは頭の良い男で、白象を上手く言いくるめて、自分の財産にした。
白象は足に重い鎖をつけられても素直に喜んで、たくさん仕事を押し付けられても、一生懸命がんばった。
そんな白象を私利私欲のために朝から晩まで働かせて、ひどい目にあわせたオツベルが許せない。
当然、オツベルは報いを受けるのですが…
白い象がだんだん痩せて元気がなくなっていく姿を見るのは、とても胸が苦しかったです。
荒井さんの絵がいいですね。
大きな体に鋭い牙、象は怒らせると危険だという事が、十分すぎるほど分かりました。
怒った仲間の象たちが助けに来る場面は、赤い象がページいっぱいに描かれていて、とても迫力があります。
それとは対照的に白象の気持ちが表された場面は、優しい穏やかな色合いで癒されます。
最初、まだ何も知らない白象が小屋にやってくる場面は、これから何か楽しい事が起こるのではないかと、白象の純粋な気持ちになって私もワクワクしました。
そして十一日の月を見て、白象が「もう、さようなら、サンタマリア。」と呟く所は、不謹慎だけど美しいと思いました。
この絵本は悲しいけれど、悪い者には報い、優しい者には救いがあって、読み終えた後はスッキリとあったかい気持ちになれます。
ただ、最期の一文はよくわかりませんでした。
語りは牛飼いだったので、牛飼いの言葉でしょうか?
語り終えた後に、飼ってる牛が川に入ってしまったのかな…?