豪華な金屏風のような素晴らしい挿絵でした。松谷さんの言葉を厳選した文章も素晴らしかったです。戦争について戦場に行った人だけでなく遺族の人もずっと悲しみを引きずっているのだという事をとても感じました。カラスが一匹もいなくなった理由を戦争の御弔いに行っているという解釈が独特で印象的でした。何十羽というカラスが空に舞っている姿は確かに坊様のように見えました。坊様の袈裟の黒色とカラスの黒色が似ているし形もそっくりという事をこの絵本の挿絵を見てハッとしました。目のつけどころが鋭いなと思いました。最初と最後の挿絵が全く同じで文章だけが異なっているところもこの絵本に対する作者の強い思いを感じました。