牡丹靖佳さんの淡い絵の中で、木馬と木馬が出会った人たちが幻想的に描かれています。
それは回転木馬のようでありながら、走馬灯のようでもあります。
木馬のブランが、働いていたメリーゴーランドが営業を終えたとき、別の地へと巡業することになりました。
巡り巡ってブランと名づけてくれた少年と再会したとき、少年は老人となっていました。
その老人に買い取られたブランは、彼の死を見送ることにもなりました。
ひとりの人間の一生の間を歩んできた、木馬が刻み続けた時間が荘厳に感じられました。
姿を変えて新たな出会いを楽しみにしているブランは、次の時代を生き続けるのですね。