「むかしむかしのそのむかし なないろやまからにげだした ななつのひかりがにげだした なないろやまはくらくなり みずはかれるしきもかれた」山のふもとに住むさちという女の子に、おばあちゃんが歌ってくれる子守歌が、子ども達にもわかりやすい伏線になっていて、お話全体の神秘的な雰囲気も盛り上げてくれます。
絵本ではないので文字も多く、お話も長い方ですが、文章のテンポが良いし、話の展開もワクワクどきどきさせるもので飽きさせず、最後まで一気に読めてしまいます。寝る前の読み聞かせに選んでも、「今日はここまで」と言って途中でやめることなく、最後まで読んでしまうんです。
林明子さんの挿絵もすてきで、子ども達が(大人も)なないろ山の様子を思い浮かべるのにとても助けになっています。やわらかい光がこんなにもうまく絵で表現できるんだなあと思います。
女の子が主人公ですが、長男はすっかりお話に入り込み、「ぼくの一番好きな本。」と言っています。特に、山のたからの石にさちが子守歌を歌って、石が力を取り戻し、山が助かっていくところがいいそうです。
まさに「ファンタジー」です。おすすめです。