とっても懐かしい感じのする、温かい挿絵が、大のお気に入りです。お話は、主人公メリーが旅行かばんに入れ忘れた兵隊のお人形、ビルが、メリーを追いかける、というだけなのですが…。
旅行に連れて行ってもらえると聞いて、シンバルを打ち鳴らすビル。かばんに入れ忘れられて、水溜りができるほどの涙を流すビル。列車を追いかけて颯爽と走り出すビル。ビルは一言も言葉を発することはないのですが(人形なので…。)その所作が、雄弁に気持ちを物語っています。文章よりも、むしろ挿絵の隅々に描かれたユーモアを読んでいくような絵本かもしれません。