まつりに友だちと出かけて、げたを買った文六ちゃん。
晩げにげたをおろすときつねがとりつくと言われ、かえりみちによそよそしくなった友だちと不安になった文六ちゃん。
それを知った母親の文六ちゃんをつつみこむようなやさしさ。
心あたたまる物語で、とても印象強いお話です。
物語が情感たっぷりの内容だけに、絵の描き方ひとつがとても重要なポイントになる物語です。
それは絵の作者の、物語に対するイメージ表現なのでしょう。
鎌田さんは文六ちゃんの孤独感、まつりに対する感動が醒めていく様子、母親の無限の愛情をとてもさわやかに描いていて、淡い画調が新美さんの物語を決して誇張せず、その情緒性を包み込むような絵で、読んでいる自分を包み込んでしまいました。
絵本画家の醍醐味だと思います。
読み聞かせしている側の人間を感動させる絵本だと思います。