「ぴっち」という可愛らしい名前と、深緑の表紙が目をひく絵本。愛らしい子猫ぴっちのイラストがたまりません。
りぜっとおばあさんの家にはたくさんの動物が暮らしています。ぴっちはこの家で生まれた子猫のなかの一匹。他の兄弟はみな毛糸にじゃれたり、ほうきに登って遊んだりしているのに、ぴっちはそんな事に興味がありません。
そこで立派なおんどりにあこがれて真似してみたり、やぎやあひるなど他の動物になろうとチャレンジしますが、どれも上手くいきません。夜中にやっとりぜっとおばあさんが見つけてくれたときには、ぴっちは重い病気になっていたのです。
ぴっちはおばあさんや他の動物たちにあたたかく見守られ、元気になっていきます。そして「ここが、いちばんいいところだ」と思うのでした。
他のものに憧れる気持ちは誰でもありますが、ふと自分自身を見つめなおしてみると、温かい家族や友だちに恵まれていることに気づき、「自分が自分で、良かった」と思える。そんな事を考えさせてくれる絵本です。