子どもに読んでいる途中から母のことが思い出され、読み終えた後はじんわり感動がこみ上げてきました。この作品でした! 毎晩毎晩、母に読んでもらい、終には母はすべて覚えて語ってくれたほどでしたから、本当によく読んでもらっていた絵本だったのですね。
わたしは今読んでも古さはまったく感じませんでした。むしろ非常にシンプルな「心」というテーマを描いているので、この作品のメッセージは永遠だと思います。
宿題をしながら傍らで聞いていた息子も途中から鉛筆を走らせるのをやめて聞き入り、最後のクマのアドバイスが何であったのか、とても知りたがりました。”bear hug”=強く抱きしめることがプレゼントなんて、とてもすてきです。「お金では買えないもの=即物的な価値観ではないもの」を与えようとしていた母の気持ちが時間を越えて伝わってきました。
2作品目はお母さんの手編みの帽子を大事にする少年のお話。あまり器用とは言えない母でしたが、アイデアに満ちた人で常に手作りを奨励していました。その実践として、わたしはリカちゃん人形は買ってもらえず、いつも母手製の綿ガーゼのお人形でした。でも、その気概は、30年以上経った今でもわたしの中に生きています。
2つの作品から母の価値観が手に取るように伝わってきて、感謝せずにはいられませんでした。