林明子さんの絵が好きなので購入しました。
あさえの留守番中に、妹のあやちゃんが一人でどこかへ行ってしまい、
あさえはあわててあやちゃんを探して町を走り回る……というお話です。
町の俯瞰図の描かれたページ以外は全て、
おそらく5、6歳でしょうあさえの目線に合わせて低く描かれていて、
その視野の狭さが余計に不安をあおり、読んでいる親の私まで心細くなってしまいます。
妹がいなくなった、という「不安」のテーマを丹念に描いた、
いわば幼児向けのスリル・サスペンス小説的な絵本とも言えそうです。
お話としてはスリル満点で、最後は妹が見つかりめでたしめでたし、で面白くはあるのですが、
いかんせん読んでいる親の身にすれば、ハラハラを通り越して心臓によくありません。
皆さんも仰っているように、現代の感覚からすると幼児に留守番を任せて家を離れる親はあり得ませんし
「おとうさんのいうことをきかないこは ゴンだぞ」と叱られて俯いている女の子にも心が痛みます。
でも、考えようによっては「子供の頃読むのと、大人になってから読むのでは感想が違う」本というのは
良くも悪くもとても貴重な存在かもしれませんね。
実際、娘は親の心配をよそに無邪気に「あやちゃん探し」を楽しみ、
おしまいのページでは「アヤチャン、イタネエ」とにっこり笑顔まで見せてくれます。
娘が大きくなってもしこの本を読み返すことがあったとしたら、
ちょっぴり真面目に、それぞれの感想を語り合ってみるのも面白いかもしれません。
子供の虐待が取りざたされる昨今では賛否が分かれる絵本かもしれませんが、
単純に子供に受けるという意味でも、大人にとって考えさせられる内容という意味でも
手元において損はない絵本だと思いました。