思えば、私はこんなに心を締め付けられる別れを経験したことがありません。もちろん、私の子供達も。それなのに、「ぼく」とクッキーの気持ちが痛いほど伝わってきます。
二人の何気ない表情や、仕草。特に「ぼく」が、クッキーが引っ越すことをしって、「どうしようどうしよう」と毛布をかぶってうつうつと考えているところは、自分の子供が悩んでいる姿のように胸を締め付けられました。我が家の子供達も、この場面には何かを感じたようで、その次のページで名案が浮かんだ時にはほっとしていました。
言葉がなく、絵だけでお話を進めているページがかなりの比率であるのですが、そういうページをじっと見ていると、主人公の嬉しい気持ち、一生懸命な気持ちなどなど、伝わってきます。お話と絵とが同じ人だからできる芸当ですね。