ヨゼフ・ウィルコンの絵はとても好きで、雑誌でウィルコン特集をする時などは必ず目を通していましたが、なぜかきちんと本を読んだことがありませんでした。今回初めて図書館で借りてきて、子ども達に読みました。
良かったです。
冒頭のぼくとおじいさんの会話の中で、「人を先入観や固定観念で判断してはいけないよ」という主題がしっかりと語られています。でも決してお説教くさくならないところが、この本のいいところです。
割と文章量もありますが、子ども達はじっと聞いていました。そして、最後に次男の言ったのは、「オオカミ、いいヤツだったねえ」。これは、ちょっと前に読んだ『オオカミと羊』の感想と全く同じです。彼の頭の中にも既に、「オオカミは怖い、悪い、乱暴」という固定観念ができていて、穏やかなオオカミに出会うと、いつも新鮮に感じるのかもしれません。
他人の本質をきちんと見極めようという努力をしなくなってくる小学校の高学年に対しても、充分に読み聞かせできる本だと思います。