「アップルパイ」を感じさせる、
クリーム色の下地に、赤・茶・黒で描かれた暖かな色合いに魅かれて、手にとりました。
つみあげうた、の絵本でした。
「これはパパがやいたあまくてあつあつアップルパイです」という最初の文章に、
「これはあかくておいしいりんごです。りんごはパパがやいた・・・」といった具合に
次々にことばが積み上げられていきます。
陽だまりのような、なんとも心地よい「うた」でした。
積み上げられていく言葉を繰り返し、繰り返し読んでいると
じんわりじんわり、言葉の意味が染み込んでくる気がします。
仲の良い農家の父娘の表情も魅力的だし、
のびのびとした線で描かれた、自然の描写も文章にぴったり。
文章と絵のバランスが絶妙で
絵だけのページも、流れが途切れた感じがしないし
繰り返す、段々長くなる文章にも飽きません。
身近なアップルパイのおはなしが、地球いっぱいの生命まで広がって、
「みんなのパイ」にまとまるラストがまた心地良くって。
ぜひ声に出して読んで欲しい、収穫の秋におすすめの絵本です。