芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の寓話かと思いましたが、実は遠い西アフリカに伝わる昔話ということでした。
飢餓に苦しむ動物たちが、クモの糸の先に食べ物があると教えられ、一本のクモの糸に、押し合いへし合いすがりつく光景は、やはり「蜘蛛の糸」の地獄図を連想しました。息子にはどう映っているのかなと横顔を覗き見ると、“どうなっちゃうの”と目を輝かせて次を待っているのがとても印象的でした。
弱々しいクモの糸にぶら下がる重そうな動物たち。無理な格好で、滑稽にも見えるのですが、それだけに、荒い息づかいや叫び声など臨場感も想像してしまいました。
最後の、動物たちが現在の姿に変身したいきさつのくだりでは、「見せて見せて!」と、ページを行ったり来たりして、一頭づつ変身の前後を確認していました。
先日どこで仕入れてきた話しか、海の水が塩っぱいわけを息子が教えてくれました。6歳の息子は知らないことばかりで、迷いもなく受け入れてしまう純粋と、知識を得る喜びに満ち溢れています。何年生までゾウの鼻が伸びたわけや、ラクダのコブができたわけを信じているのかなと想像して、面白く読ませてもらった昔話です。