自分にない物を持つ他者への憧れ、未知のものへの憧れ、というのは、小さな子供のうちから持っているものですよね。
この子羊も、大空を自由に飛び回る蝶々に対して、そんな気持ちを抱いていたのかもしれません。
最初は、蝶々に「ずっとそばに居て欲しい」と願う子羊でした。
しかし、風雨に打たれてヨレヨレになった蝶々の姿を見、寒さをしのぐための毛皮がないから、南の国へ行かなくてはならない、という蝶々の事情を知ります。
やがて、また格好良く空に飛び立ってゆく蝶々ですが、もう子羊は追いかけません。
子羊は、自分の居場所、蝶々の居場所、それぞれの立場をよく理解していたのです。
自分にとって居心地の良い場所でも、他の者にとっては必ずしもそうとは限りません。
幸せの感じ方は人それぞれ、生き方だって皆違います。
子羊には、おかあさんや仲間達のそばで暮らしていく幸せがよく分かったのでしょう。