『いぬが、かいた〜い!』・『チャボのオッカサン』で動物ものを描いているオーストラリアのグラハムさんの作品です。
都会の片隅に、一羽の翼を傷めた鳥が倒れていました。
ビルの窓に突進し、高いところから落下して来たのです。
道行く人々は、誰もその鳥に目も留めず、気づきません。
しかし、ママに手を引かれた小さな男の子ウィルだけが、ただ一人、気づきました。
ウィルはママに訴え、家へ連れて帰ります。
ママのマフラーに、くるまれバッグへ入れられて。
ウィルは、両親と一緒にこの傷ついた鳥の手当をし、回復まで見守ります。
パパもママも、この鳥のために精一杯のことをしてあげます。
こんな“小さな命”への向き合い方をする両親だからこそ、ウィルのような子どもが育つのだと思いました。
この時の流れが、月の満ち欠けで、読者に伝えられています。
そして、鳥の傷が癒え、元気を取り戻していく姿に、“小さな命”の力強さと感動を覚えます。
文が少なめで、読者にストーリーを読みとる事を委ねるような静かなしかしメッセージ性の強い作品です。
心があたたまる、お話しでした。