マタギという言葉を初めて聞きました。
東北地方でツキノワグマなどの狩りをする人々のことです。
クマを狩りする人が何故クマを育てるのか。
そこには、ある狩りでの失敗と子ぐまとの出会い、マタギの決心があったのです。
クマの狩りの様子、狩りのときのおきてやしきたりなど、普段目や耳にすることのない世界が詳しく描かれています。
狩りは生き物の命を奪うことになります。
けれども、命を決して粗末にはしません。無駄な殺生もしません。
命をもらいながらも、誰よりもその命の大切さを知っているマタギ。
山を愛し、命を大切にし、感謝の気持ちを忘れないその姿に、尊いものを感じます。
クマは人を襲う恐ろしいイメージを持つ人が少なくないでしょう。
よくテレビのニュースなどでも、人里に下りてきては民家の食料を荒らしたりするクマの姿を映し出しています。
けれども何故そんなことをするようになったのか。
本当に恐ろしいことをしているのは誰なのか。
たくさんの人に知ってもらいたいです。
この本ではマタギに育てられた2頭のクマ以外にも、興味深いクマたちのお話も描かれています。
母子で雪すべりをするクマのお話です。
クマも私たちと同じように子供と遊び、同じように子供を愛しているのだと実感できます。
自然を大切にすること、命を大切にすることを教えてくれる素敵な作品です。