「ちゃうちゃう ちゃうねん」・・・方言に惹かれてページを繰ったものの、子どもの「これ あげる」というひと言、その理由探しを親である大人がさせていることに実は心が痛んだ。
子どもの言葉は無垢で、素直そのまま。飾らず、ストレートで邪推がない。なのに大人はなぜか、すぐ飾りたがる。余計なお世話をしたがる。二人の主人公が自分の気持「これ あげる」と、大人の余計な邪推「好きかも」との間を行ったり来たりする。一週間もの間、あーでもない、こーでもないと考えを巡らせる。ページを繰りながら読手の私がなぜかドキドキしているではないか。
月曜約束の日の朝の教室描写が素晴らしい。背を向けて立つあっくん、その向こうにあっくんを見つめるゆいちゃん。教室の仲間がみんな風景になる不思議。ドキドキが聞こえてきそうな切取りだ。
「これ あげる」と「ありがとう」と。ふたりの自分の素直な気持ち、考えて少し悩んだけれど、ほこほこする気分に行き着いてちょっと涙。
ちゃうちゃう ちゃうねん、眼にごみが。
遠い昔のこと、思い出しました。ありがとう。
感謝、もりなつこ様・はしもとえつよ様。