娘は、この絵本を「おばけの本」と呼んでいます。それくらいおにばばの顔が恐ろしい!迫力満点の絵です。にもかかわらず、その日のうちに5回も読んだほど、このお話に引き込まれた様子。やっぱり昔話のおもしろさは、格別ですよね。
鬼婆の頭がぱかっと開いて、大きな口が現れ、おにぎりを次から次へと食べてしまうシーンで、娘は、「お口で食べてないのに、食べちゃったの?」と、不思議がり、最後に鬼婆がよもぎの茂みで転び、よもぎの汁がついて死んでしまう場面では、「人間も、毒のおつゆがつくと、死んじゃうの?」と聞きながら、鬼婆のこともかわいそうに思ったようでした。
そして、「子どもに会える?」と、悲しそうな声で聞くのです。鬼婆にも子どもがいて、その子どもに食べさせてやろうと、欲張り男をたらいに入れて持ってきたのですものね。動物も人間も、子を思う気持ちは同じですよね。たとえそれが鬼婆であっても。そのことを、4歳の子どもが感じ取って、鬼婆が亡くなり、子どもに会えなくなるのはかわいそうだ、と思ったことに、胸がジーンとなりました。
子どもにとっては、ショッキングな終わり方かもしれませんが、昔話には残酷な結末も意外に多く、それをまた、このお話のように、「おにばばは、しんだ。とっぴんしゃん。」と、さらりと語ってしまうんですね。なので、私も、読むときには、そのままさらっと流すようにしています。
海外で子どもを育てていればなおのこと、このように物語もしっかりしていてく、芸術的にも優れている日本の昔話を、たくさん読んであげたいな、という思いを強くしました。