「出もの腫れもの処かまわず」と言いますが、お尻の締まりの悪い息子に絶対ウケるはずと思った、僕の期待以上に息子は反応してくれました。
お淑やかなよめどんの「それでは ごぶれい いたします」という静かな口調とはうって変わって、出した“へ”の音が「ブボンビ ボンボ ボボンバボン」と、大迫力で書かれた文字を見た息子は突如笑い出し、一旦おさまった後の“ひきっぺ”という吸い込む“へ”によって、飛ばされた“ばばさま”が山から家へ引き戻されては、また飛ばされる大騒動に、息子はひきつけを起こしたんじゃないかと思うくらい笑い転げました。
身近な“へ”もここまで超人的になると、「一芸に秀でる」ならぬ、「一芸に“へ”出る」といったところでしょう。大川悦生さんの「へっこきじっさま一代記」のじっさまは“へ”で空が飛べるわけですが、よめどんはじっさまをも凌ぐ“へ”のこき主です。
見て楽しく、聞いて笑って、人を幸せにする“へ”ならばいくらでも許せます。「芸は身を助く」といっためでたしな終わりに、よめどん同様すっきりとした読み応えでした。
息子は次の日も読むというので、ママからバアバアへと“へっこき”リレーしようと思います。
息子の笑い転げようといったら、絵本としてはおそらく過去最高だと思います。